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広島税理士のひとりごと『実は所得税がかかる場合があります~ふるさと納税の返礼品・株主優待編~』

2023/01/20 [FRI]

確定申告の時期が近づいてきました。

今回は身近にあるお得ネタですが、確定申告上はどう扱われているのかよく知らないというもの2つについて解説してみます。

 

Ⅰ≪ふるさと納税の返礼品≫

実質2,000円の負担で全国の自治体から返礼品がもらえるということでみんな大好きふるさと納税ですが、返礼品を受け取った際の課税関係はどうなるのでしょうか?

 

実は国税庁の質疑応答事例で以下のように回答されています。

 

回答:

寄附者が特産品を受けた場合の経済的利益は、一時所得に該当します。

所得税法上、各種所得の金額の計算上収入すべき金額には、金銭以外の物又は権利その他経済的利益の価額も含まれます(所得税法第36条第1項)。

ふるさと納税の謝礼として受ける特産品に係る経済的利益については、所得税法第9条《非課税所得》に規定する非課税所得のいずれにも該当せず、また、地方公共団体は法人とされていますので(地方自治法第2条第1項)、法人からの贈与により取得するものと考えられます。

したがって、特産品に係る経済的利益は一時所得に該当します(所得税法第34条、所得税基本通達34-1(5))。

出典:国税庁https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/shotoku/02/37.htm

 

とはいえ、一時所得には50万円の特別控除額がありますので、返礼品の価額が50万円を超えた部分の1/2のみに課税されます。

仮に自治体からの返戻率が3割だとすると、返礼品の価額が50万円を超えるためには

ふるさと納税の金額が50万円÷0.3+2,000円=1,668,666円となり、これにはサラリーマンだと給与額面が4,500万円近く必要となります。

ということで、ほとんどの方には税金がかかることはないといっても過言ではないでしょう。

 

Ⅱ≪株主優待≫

以前、株主優待マニアで有名な元棋士の方が「今の法律では、株主優待には税金がかかりません。」とツイートしているのを見て驚きました。

これは明らかな誤りです。

 

所得税基本通達24-2では、「配当等に含まれない経済的な利益で個人である株主等が受けるものは、法第35条第1項《雑所得》に規定する雑所得に該当し、配当控除の対象とはならない。」とされています。

実際に確定申告書作成コーナーでも、株主優待を受け取った場合は雑所得に該当しますので、「雑所得(その他)」から入力してください。と指示されています。

このため、確定申告する際には株主優待の価額を雑所得として申告することとなります。

 

なお、給与所得者で年末調整済みの方については、年末調整を受けた給与以外の所得が20万円以下であれば確定申告をしなくてもよいことになっていますので、これに該当する方は申告する必要はありません。

では、自営業者等で確定申告する方は…というと、一定以下の雑所得について申告不要といった規定はありませんので、申告せねばならないということになります。

 

とはいえ、実は私も株主優待を雑所得として申告しているのを見たことがなかったりします。株主優待を誰がいくら取得したかを税務当局が把握するのが困難なこともあり、実務上はお目こぼしになっているのが実情と思われます。

税理士として書けるのはここまでということでご容赦ください。

 

広島総合税理士法人