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広島税理士のひとりごと『映画「ゴッドファーザー」にみる相続のありかたと事業承継 その1』

2021/04/09 [FRI]

1972年に上映されてから大ヒット作品となった本作を今の若いかたは知っているのだろうか。

本作はコッポラ監督の代表作であり,「風と共に去りぬ」とともに20世紀最高傑作の映画と言われているものである。

当方は1968年の生まれであるので、中学校のときに最初に見てから感銘を受けて以後,成人してこと何度もこの3部の大作を見ているが、その時の年齢や家庭環境によって新たな感動を受ける稀有な作品となっている。

税理士となってからは、主人公であるコルレオーネ一族の波乱万象の人生のなかにも,ファミリーの愛情と愛憎、カリスマドンをめぐるファミリーの絆のなかに子供たちへの事業承継の考え方うや対処がちりばめられていて,中小企業経営者のための事業承継の勉強教材としてお勧めの一品となっている。特に、ドンの養子であり、ファミリーの顧問弁護士であるトム(ロバート・デュバル)は現在のわたしと関与先の関係?ともみることができ、いつしかわたしはゴッドファーザーのトムを自分の理想像とするようになった。(ちなみにトムはシチリア系ではない。この点の経緯はのちほど説明する)

当コラムは本作品を,税理士の立場から相続と事業承継をテーマにあてて,たどってみたい。

少々長くなるかもしれないし、いつ終わるかもしれないコラムとなるがお付き合いいただきたい。

 

年配のかたはよくご存じかと思うが、本編はマリオ・プーゾの小説を映画化したものである。マリオは実際にニューヨークのシチリアマフィアのボスの取材をもとに小説化したものと言われており、この点では広島を舞台にした昭和の最高傑作映画といわれる「仁義なき戦いシリーズ」と同じ実録映画の要素を含んでいる。

まず映画の時代背景とシチリア(出身)マフィアの関係である。

第2次世界大戦直後の1945年、ニューヨークの5台ファミリーの一角のイタリア系マフィアのコルリオーネファミリーのドンことコルレオーネ・ビィトーがニューヨークを制して、勢力を域外にどんどん拡大していく。この間3人の息子のだれに事業を承継するかの葛藤が描かれている。

こちらは3部作となっており、第3部ではドンとなったアル・パチーノ扮する3男マイケルがラスベガスに進出して,マフィア世界の頂点に達するものである。マーロンブランド扮するドン・コルレオーレには男子が3人あり、長男がソニー、次男がフレド、三男が主役のマイケルとなる。これは広島でいうと毛利元就の毛利三川でいう、隆元、元春(吉川)、隆景(小早川)の3本の矢と同じである。余談になるが,黒沢明監督の代表作「乱」は、この毛利家の3本の矢の兄弟一致団結が後の毛利家の幕末までの繁栄をもたらしたのに対して、もし3人が仲たがいしたならばどうなったであろうということを念頭において作られた作品である。

ゴッドファーザーの長男ソニーは血の気が多くすぐかっとなる性格であったが,これが禍して敵のわなにハマって餌食となり、高速の料金所で停車中に車のなかでハチの巣状態で機関銃を撃ち込まれた。毛利家の長男隆元は血の気が多かったかは定かではないが、移動中に宿泊した宿で(一説では)ヒ素をもられて死亡した。(これに憤った毛利元就は宿の一族郎党を全員処刑したと言われている)

 

 

 

 

 

 

いずれも縄張り争いをしている相手からの陰謀のすえに,悲惨な最期をむかえているのである。この点でも広島はゴッドファーザーと関連性があると言わざるを得ない。

映画では、次男フレドのファミリーへの裏切により,三男マイケルの命により湖上で銃殺されることになるが、本シーンは映画での最高の見どころである。まさに映画「乱」が投影されているのである。

 

 

 

 

 

 

ドン扮するマーロンブランド,は当初コッポラ監督に役者としての評価はされていなかったが、第1話の興行成績があまりにもよかったため、第2話のギャラの交渉で配給会社ともめにもめた挙句,結局2話に主演できずに1話で配役が終了した。第2話では台本が出来ていたせいか、孫(長男ソニーの子供)がお爺さんを呼ぶ声に反応して会話をするところだけで映像はなく、代声の音声だけで出演する。この点はゴッドファンとして第2話を見るときの重要なポイントとなる。個人的にはマーロンブランドが第2話も主演していたら,もっとすばらしい作品になったことを思うと残念でならない。

それでは、映画のストーリーとともにこのファミリーの事業承継をみていく。

その2に続く

 

広島総合税理士法人 岡本倫明