今回は、生前贈与について説明します。
相続税の節税を検討する場合、一番手軽に実施できるのが生前贈与です。
生前に財産を贈与することは、被相続人の財産を減少させることに繋がりますから、
これを着実に実行することが、確かな相続税の節税策だと考えます。
では、どのような贈与の仕方があるか以下説明します。
1 贈与税の課税方法
贈与税の課税方法には、「暦年課税」と「相続時精算課税」の2つがあります。
暦年課税は、1年間に贈与を受けた財産価額の合計額から基礎控除額(110万円)を差し引いた残額に
贈与税の税率を乗じて贈与税額を算出します。
相続時精算課税は、贈与財産から基礎控除額(110万円)と特別控除額(2500万円)を控除した残額に
20%の税率を乗じた金額の贈与税を支払い、
贈与者が亡くなったときにその贈与財産と相続財産とを合計した価額を基に相続税額を計算し、
既に納付した贈与税額を控除するものです。
どちらの課税方法を選択するのが有利になるかは、
被相続人の総財産を把握した上で試算する必要がありますので、一概には言えません。
2 毎年の贈与金額
毎年110万円以下の贈与であれば、贈与税がかかりませんので、
相続税の節税効果だけが生ずるということとなり、一般的によく使われています。
しかしながら、多額の財産を有する人の場合には110万円より多い財産を贈与して
ある程度贈与税を支払う方が、相続税の節税効果が大きくなることがあります。
例えば、相続財産が3億円 相続人が子供2人の場合
相続税は6920万円
実効税率は23.1%(6920万円÷30000万円=23.1%) となります。
他方、贈与価額400万円の場合 贈与税額は335,000円
実効税率は8.4%(335,000円÷4,000,000円=8.4%) となります。
以上のとおり、400万円贈与した場合の実効税率は8.4%であるのに対し、相続財産が3億円の場合の実効税率は、
贈与価額400万円の約3倍の23.1%となります(相続財産が3億円で試算しましたが、相続財産が多額になるにつれて実効税率の格差は広がります。)
したがって、一定額以上の相続財産を有する人の場合、毎年110万円の贈与をするより、ある程度贈与税を負担する贈与の方が、
相続税の節税効果が大きくなるということがいえますので、このことを含めて贈与価額を決定することをお勧めいたします。
教えて!相続先生『相続税の節税策(第1回)』:https://www.hiroso-ac.jp/column/3793/
教えて!相続先生『相続税の節税策(第2回)』:https://www.hiroso-ac.jp/column/3801/
教えて!相続先生『相続税の節税策(第3回)』:https://www.hiroso-ac.jp/column/4696/
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